デビューから40年超えのスターダスト・レビュー。たくさんの楽曲があり、初めてスタレビに出逢った方は、何から聴いたらよいのかわからないかもしれません。「代表曲がない、売れた曲がない」とボーカルでリーダーの根本要さんは自虐しますが、安心してください。スタレビにも代表曲と呼ばれる楽曲があります。ライブでも定番のおすすめの代表曲を5曲ご紹介します。
「シュガーはお年頃」
1981年リリースのスターダスト・レビューのデビュー曲「シュガーはお年頃」。服部良一さんに影響を受けたブギウギサウンド。シチズンのCMというタイアップにも関わらず、自分たちとスタッフの予想に反し、全く売れなかったシングル。ライブでは、要さんの「こんばんは。スターダスト・レビューです。僕たちのデビュー曲『シュガーはお年頃』を聴いてください」の前振りで始まる定番曲。
おそらく「シュガーはお年頃」を、ツアーで演奏しなかったことはないのではないかな、と思います。それほどスタレビにとってはたいせつなデビュー曲。満面の笑顔で歌う要さんを観ながら聴くシュガーは楽しすぎる。「『シュガーはお年頃』が『シュガーはお年寄り』になっちゃった」とは最近の鉄板ネタ。
2023年後期の朝ドラ、「ブギウギ」の制作が発表された時は、ファンの間では「シュガーが主題歌になるのでは?」、「ぜひシュガーを主題歌に」と話題になりました。
「トワイライト・アヴェニュー」
1983年リリースのスターダスト・レビュー4枚目のシングル。ファンの間でとても人気が高く、私も大大大好きな曲です。2021年ファンの投票を元に、スタレビのシングル曲ベスト20を決めるという配信ライブでは、堂々の1位を獲得しました。
当時、なかなかレコードセールスが伸びないスタレビは、スタッフから「次の曲が売れなければ後がない」と言われていたそう。そこで、アマチュア時代に人気だった「シルエット」を、より完成度を高めるために、初めて作詞家へ依頼して創られました。作詞家・滝真知子さんによる、女性目線で語られるせつない想いが、要さんの創った美しいメロディーに乗ったミディアムナンバー。スマッシュヒットと呼べる楽曲だと思います。
要さんは、当初、松田聖子さんに歌ってほしいと、そういったイメージで創っていたそうです。ライブでは、オリジナルのバンドバージョン、アカペラバージョンのどちらかで演奏されます。どちらも素晴らしいのですが、おすすめはやはりバンドバージョン。メロディー、アレンジが秀逸すぎます。そして、間奏の要さんのギターソロがたまらなく素敵。あのギターソロは私の中で、5本の指に入ります。心がキュンとわしづかみにされる瞬間なのです。
コロナ禍で行われた「年中模索」ツアー。「トワイライト・アヴェニュー」では、観客がスマホライトをかざして振るという演出が行われました。とても綺麗だった。ステージ上のスクリーンにも要さん越しに各席が映り、みんながかざすライトがとてもとても美しかったのです。
「夢伝説」
1984年にリリースのスターダスト・レビュー5枚目のシングル。初のヒット曲。ヒットと言ってもチャートを賑わすとか、ザ・ベストテンにランキングされる、といったことではなく…。でもスタレビの名前を大きくミュージックシーンに知らしめたというには充分でした。実際、私がスタレビの存在を知ったのはこの「夢伝説」でです。
カルピスのCMに起用されたことも大きく、ミュージックシーンだけでなく、お茶の間にもスターダスト・レビューと「夢伝説」が響いたのでは、と思います。要さんが「『夢伝説』がなかったらスタレビは終わっていた」と冗談交じりに言うけれど、まさにスタレビのターニングポイントとなった1曲です。
ライブでの要さんの、キー上げのロングトーンが素晴らしすぎるので、ぜひライブで聴いてほしいです。どこまでも伸びていくあの声に鳥肌が立つのです。そして「夢伝説」といえば、VOHさんのハイトーンのコーラス。VOHさんが声帯を失ったことで、これからのライブでは、他のメンバーが行うかもしれません。でも、CDや音源ではVOHさんのコーラスが聴ける。これまでもこれからも。そしてVOHさんにはパーカッションがある。
「今夜だけきっと」
1986年リリースのスターダスト・レビュー9枚目のシングル。「夢伝説」のヒットを受けて、ライブの公演数、観客数を着実に伸ばし、この頃にはライブバンドとして、スタレビの名前は定着していたと思います。1980年代半ばは、大学の学園祭が活況だった頃。スタレビは、通常のライブツアーに加えて、学園祭にも多く呼ばれていて、スタレビの認知度の高さがうかがえます。
当時、音楽雑誌には頻繁にスタレビが載っていたし、世間一般の知名度はともかく、スタレビの名前は知られていたし、ライブもおもしろいと評判になっていました。「夢伝説」のヒットで着実にファンを増やし、魅力的なライブでファンの満足度を上げ、「今夜でけきっと」で、さらにスタレビはステップアップしたのでは、と思います。
「今夜だけきっと」は、要さんの奥様とのエピソードをモチーフにした楽曲です。奥様とは地元の仲間で、くっついたり離れたりしていたというお話を聞きます。そういったエピソードを元に創られたと要さんがお話しています。
ライブでの「今夜だけきっと」ではラストに流れ星が流れるのが定番。要さんのロングトーンの終盤、「来るぞ、来るぞ、来たーーーーー!」と会場は盛り上がります。
「木蘭の涙」
1993年リリースのスターダスト・レビュー25枚目のシングル。スタレビの代表曲と言えば、まず「木蘭の涙」が挙げられます。元々は、1993年のアルバム「SOLA」に入っていた楽曲で、メンバーの意思でシングルカットされたもの。スタレビの曲で、一番多くの人が知っている曲かと思います。
「木蘭の涙」は、多くのアーティストにカバーされています。CD化されているものもあれば、テレビの音楽番組などで歌われることも多く、一般の方に浸透しているであろう「木蘭の涙」。カバーしているアーティストは、佐藤竹善、夏川りみ、クリス・ハート、渡辺美里、坂本冬美、谷村新司、五木ひろし(敬称略)などボーカルに定評のある人ばかり。要さんのボーカルが素晴らしすぎるので、歌唱力や表現力に長けているアーティストでないと歌うのは難しいのでは、と感じます。そして、要さんの、スタレビの「木蘭の涙」が一番いいなあ~と思うのでした。私は、カバーでは、元・東方神起のジェジュンさんがカバーしたものが一番素敵だと感じました。
あまりにも多くのアーティストがカバーしているため、「スターダスト・レビューも『木蘭の涙』をカバーしているんですね」と言われてしまうのは鉄板ネタ。「木蘭の涙」の一人歩きは、どこかに行ってしまって迷子になったという自虐も。要さんは、「カバーする時は、ただ曲を覚えて歌うんじゃなくて、そこに楽曲に対するリスペクトが感じられることが重要」というお話はよくされています。
「木蘭の涙」はオリジナルであるバンドバージョンと、アコースティックバージョンとがあります。アコースティックバージョンでは、キーボードの添田啓二さんと、要さん以外のメンバーのコーラスとで演奏されることが多いです。多くのアーティストがカバーする際、アコースティックバージョンが多いと感じます。カバーする時に歌いあげたい、という気持があるのでしょうか。
私は、断然、バンドバージョンが好きです。もちろんアコースティックもいいのですが、アレンジが秀逸なバンドバージョンが素晴らしいです。あのアレンジがあることで、悲しみが和らいでいるし、ロックバンドのバラードだな、と感じます。
ちなみにアコースティックバージョンの誕生は、小田和正さんによるもの。「ピアノ一本で歌ったらいいんじゃないか?」との提案。アコースティックバージョンの誕生で、より多くの人の心に響く歌となったのは間違いありません。